24枚目〜マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン

新宿の東郷青児美術館で開かれているウフィツィ美術館自画像コレクション
Marie Élisabeth-Louise Vigée Le Brun
マリー=ルイーズ=エリザベート・ヴィジェ=ル・ブラン
Self Portrait-1790
マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン》1790年

彼女の描く絵は、20年近く前に来たルーブル展で一目惚れをした
国立西洋美術館所蔵作品にも彼女の描く絵があるけれど、それも人気の1枚
行くたびに惚れ惚れしてじっと見つめてしまう


今回のチラシを見て、胸がドキドキ
今回の企画展でも、入口を過ぎると、他の絵はほとんどチラミ
この絵のある部屋まできたときに、緊張感がぐっと高まる
あったこの絵だチラシの絵だ



実際にはこっちの方が色は近いなぁ


絵を写真で再現することはなかな難しい
実際の絵は顔は真っ白で、ほっぺたがちょっぴりピンク


マリーアントワネットおかかえの画家であった彼女
1789年マリーアントワネットが捕まったと知ったその日の夜に、彼女は国外へ逃げ出したそうな
その翌年にフィレンツェで描かれたこの絵
どんな思いをしてマリーアントワネットを描こうとしているのだろう


10分以上、この1枚の絵に釘付けになった
あまりの美しさに、自然に涙が出てしまった
間近で見ると221年間の経年劣化のためのヒビが顔にでてしまっているけれど
そんな小さなことは気にならない素晴らしさがある
何とか彼女と視線を合わせようとして、いろんな場所に移動しようとしたのだけれど
なかなか思うようにはいかなかった
白い手の指先の繊細さが、優しさを倍増している
頭や首、手首のレースの網模様まで、丁寧に丁寧にはっきりと描ききっている
その丁寧さに気品を感じる
ちょっとだけ歯をのぞかせている
そういえば、肖像画で歯を描くのは少数派だよなあ
庶民生活を楽しげに描く作品では歯を見せるもののあるけれど
こういう肖像画で歯を見せるのは少ないと思う
35歳の自画像
目が生き生きとしていてとても惹かれるなあ


今年見た中では、海賊バカニーアアンテアの貴婦人とともに、この絵がベスト3に決定だな
どれも写真では、今一つだけれど、本物の絵を目の前で見たときの興奮は今でも忘れない
海賊バカニーアなんて、半年も前なのに、数分前に見たばかりのように、はっきりとあの興奮を覚えている



やっと君に出会えた
君に出会えることを知ってから数ヵ月
待ちにまったこの日の想い


今やフランスも革命の時代ではない
血を流して戦う殺戮の時代ではない


君が何を想い
何を願い
そして何をためらいこの絵を描いたのかは僕は知らない


革命からの逃亡の後、君は何百枚もの絵を残してくれた
その1つ1つ全てを見ることはもうできないけれど
残された作品は今でも世界中の人の心に焼き付いている
君の残してくれたすばらしい作品は
見ようとすればいつでも人々の心の中で瞬時にしてよみがえる
目の前に作品がなくても、一度目にすれば心の中にそれは焼き付いている
目を閉じるだけでいい
そうすれば200年の月日は昨日の出来事として姿を変える
魔法のように一瞬で姿を表す


そのとき思い浮かべる君の笑顔
その笑顔はこれからも何百年もの人々の心の中に明かりを灯してくれるだろう


ああロミオ、なぜあなたはロミオなの度     ☆☆☆
おおジュリエット、なぜ君はジュリエットなの度 ☆☆☆
踊りを見て聞いて、音楽は一体だ度       ☆☆☆☆☆