22枚目〜貴婦人の肖像(アンテア)

ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展
<貴婦人の肖像(アンテア)>1531年〜1534年頃
Parmigianino (パルミジャニーノ)


なんでも、当時イタリアを訪れた人が、大絶賛していたという
国立西洋美術館で現在開催中のこの企画展、とても素晴らしいなあ


新国立美術館で5月26日開催から開催されているオルセー美術館展2010は、7月3日で30万人、7月12日で40万人を突破という美術企画展としては、異例の人気ぶり
フェルメール展の時だって、こんなに人気はなかった記憶がある
2ヵ月も経たないうちに40万人突破だもんなあ
確かに良かったけれど、あの込み具合は、ちょと落ち着いて観ることができないのが難点


それに比べ、まだこちらは始まって間もないけれど、ガラガラ
一枚の絵を見続けるにはありがたい少なさ


絵の中のアンテアと瞳を合わると空気が張り詰める
大きな絵なので、彼女の眼の高さでこの絵を見つめるのは、自分の身長でかろうじてといった感じ


ものすごいりりしさ
ちょっぴり微笑むその優しいほほは、わずかなピンク
白い桃のほっぺたみたい
左側をほんの少しだけ後ろにしてたたずむ彼女の姿勢は、さりげない静かな自己主張


瞳の中まで、細かく描かれていたその精密さ
華美ではあるけれど、品があり理性を感じさせ、嫌味を感じさせない
毛皮の先には、鋭い牙が描かれていて、それがまた、甘い優しさにとどまらない鋭さを感じさせてくれる
髪の毛も、真中からきっちりと分けられていて、彼女の視線の強さを増強している


アンテアなるこの女性、一体どんな人物なのか、高級娼婦だとか、お嫁さんだとか、いろいろ議論されているようだけれど
誰だっていいと思う
ミステリアスな神秘性が観る者の想像力をかき立て、それぞれの空想の世界へ導いていく
そこには、観る人ごとのアンテアが存在する


何分この絵の前に止まって、見続けただろう
この瞳にとりつかれ、じっとそこにたたずませる力を持つ



そのとき君は言った
ねえ、何を見ているの
僕は君を見ている
見ていないかもしれない
何を言っているの
君のその瞳の中
君のそのほほの中に
僕の視線が溶け込んでしまう
君を見つめていると
僕の視界から他のものは消されてしまう
静かに耳を澄ませば
君の静かな息づかいが、時空を超えた永遠のメロディーになる
君をおおうジャスミンの香りが
ほんのちょっぴりだけ
目をつぶる僕の体に入り込む
そのとき君は
数百年の時間かけめくる時の旅人となる



この楽器を買っても、近所に先生はいないな度 ☆☆☆
不思議な時代を感じさせる新しい音だ度    ☆☆☆☆☆
服は合ってないかも度            ☆☆