読書②

人は読書に何を求めるのか

知識であったり、楽しみであったり、時には悲しみを求めるときもある
小説の場合、それは楽しみや悲しみを求めることになろう


評論やエッセイ、専門書などには主として知識を求める
小説は違う
小説には知識は求めない
なぜ人は小説を読むのか
自分はSF物も好きだし、時代物も好きだ
岩波などの古典も好きだ
推理小説も好きだし、冒険物、旅行記なども大好きだ
これらどこかにきっと何らかのつながりがあるはず
自分が惹かれる小説の分野があるということは、そこに何らかの理由があるだろうから


人は小説に何を求めるのか


小説、それは伝記とは異なり、非現実の世界
空想の世界
バーチャルの世界


なぜ人は、非現実の世界を話に興味を持つのか
現実の生活に満足していない部分があるからなのか


役者がかつて言っていた
なぜ芝居が好きなのかという問いかけに対し、それぞれの役でしか味わえない、様々な人生を味わうことができるからだと
それに惹かれる人の気持ちもわかる
けれども自分は自分の人生で十分だ
昔を懐かしみ振りかえるようなものは好きではないし、不確定な何年もの先のことを考えるのも好きではない
小さい頃からいつもそうだった
いつも、そのときそのときの「今」が一番好きだ
ありえたかもしれないもう一つの人生
そういったことに、自分自身には興味がない
ゆえに、自分は芝居をやろうとは決して思わない


けれども小説は好きだ
芝居とは違うけれど、非現実の人生がそこにある


小説と非現実の人生
人は小説に、自分の人生を重ね合わせて、主人公になったつもりで、ありえたかもしれないもう一つの人生を楽しんでいるのか
または、他人の人生を客観的に傍観することで、自分と違った世界があることに興味を抱くのか


小説の非現実性
もし非現実という点のみが大事であるならば、ストーリーはハチャメチャな方がいい
テレビや映画も同じだ
水戸黄門が、なんだこの爺様はと、悪者にやっつけられて、悪代官が最後に勝つ
けれども、それでは視聴者が楽しめない
必ず8時40数分で、この紋所が目に入らぬかぁと懐から印籠を出す、予定調和の安心感
もし印籠ではなく、他のものだったら、この予定調和が崩れる
水戸黄門が懐から印籠ではなく、レーザーガンを抜き出す
けれども、そんなストーリーでは楽しくない
リアリティーがない
リアリティーがないと視聴者、読者は楽しめない、納得してくれない


鬼平シリーズの中で、脇役の登場人物が死んでいく話があることに対し、質問者が、なぜそういう設定にするのですかと問いかけていた
それに対し、池波正太郎は、殺さないと作品にリアリティーがでないんですよ
そう言っていた


村上春樹ノルウェーの森
読んだことはないのだけれど、聞いた話では主な3人の登場人物のうち、一人が亡くなってしまい、その後の当事者の心理描写等が書かれているという
大ヒットしている村上春樹
彼の作品は2、3冊しか読んでいないので、はっきりは言えないけれど、結論がどこかはっきりしない、もやもやっとした終わり方が多い
夏目漱石のような勧善懲悪のはっきりした世界ではなく、どこかアンニュイな世界
その分、夏目漱石よりは作品に現実性があり、親近感が湧くのかもしれない


作品のリアリティーってなんだろう


人はリアリティーがないと満足しないのか
人は小説に何を求めるのか


考えてみるとなかなか難しい

明日以降の思索に続く



単純な現実の喜び度         ☆☆☆☆
本人たちの顔とのイメージギャップ度 ☆☆☆☆
本人たちが踊らなくて良かった度   ☆☆☆☆☆