Like a Rolling Stone

今日の産経新聞に、先日のiPad発表会で、<会場であるヤーバブエナ芸術センターに入いると、ディランのLike a Rolling Stoneが流れていた>という記事が載っていた。
スティーブ・ジョブズ氏はディランの大ファンなのだそうな

マイケル・ジャクソンは、ライブでのメンバーに、アルバムの曲と同じように演奏することを求めていた
ファンが聴きたいと思っているように演奏するのが大事だという

これに対し、ボブ・ディランは、ライブでは、ファンでさえ何の曲を演奏し始めたのか、しばらくわからないという曲があるほど、曲を崩しまくる
その時の気分で演奏しているのだろうなぁ
実にジャジーだ
ファンの気持ちよりも、自分がやりたいようにやっている、そんな感じだ

同じ曲でも、同じ演奏はしない。
同じ曲を何回もレコーディングして発表するなんて、ディランの他には少ないと思う



産経新聞に載っていたディランの詩は以下のもの


痛い目に遭うぞと忠告されても
君は冗談だと思ってたよな
ぶらぶらしている連中のいうことなんか
昔の君は笑い飛ばしてた
いまや君は大声でしゃべったりしない
君はもうプライドが高そうでもない
なにしろ次の食事にどうやってありつくか考えないといけないんだからな


これに対し、CD解説の片桐ユズル氏の訳は以下のもの


むかしあんたはいい服を着て
わかったとき乞食に銭をほおってやったね
みんないってた「気をつけろ落ちるぞ」と
でもみんなでからかっているだけだとおもっていたろう
よくわらいものにしたね
うろついているやつらを
いまあんたは大声でしゃべらない
いまあんたはじまんもしない
次の食事をどうやってごまかすかについて

Once upon a time you dressed so fine
You threw the bums a dime in your prime, didn't you?
People'd call, say, "Beware doll, you're bound to fall"
You thought they were all kiddin' you
You used to laugh about
Everybody that was hangin' out
Now you don't talk so loud
Now you don't seem so proud
About having to be scrounging for your next meal.

How does it feel
How does it feel
To be on your own
With no direction home
Like a complete unknown
Like a rolling


詩は直訳しても、なかなか雰囲気までは伝わらない


ディランの詩は難しい
うまい対訳がないともよく言われる
その詩で何度もノーベル文学賞にノミネートされるというくらい考えさせられるものは多い

本人は、そんなに深く考えてはいないのかもしれないけれど
読書家ではあるらしい

産経新聞の記事によれば、ジョブス氏の経歴と比べ、「60年代反体制カルチャーのシンボルだったディランとの親和性は、ありすぎるほどある。」と紹介されている。
続けて「『ディランはこの曲について、あることに向けられた、僕の変わることのない憎しみ』について書いたと述べたことがある。」と紹介し、さらに「世界有数の金持ちとなり、すでに歴史に名を刻んだといっていいジョブス氏は今も、何かに対する憎しみを持ち続けているのだろうか。」と結んでいる。


超ワンマンで、自分と相性の合わない人間は、即刻クビ
それゆえ社員らはびくびくしているとも言われるジョブス氏

この曲を発表会のBGMにすることを決めたのが社員なのかジョブス氏本人なのかはわからないけれど
もしジョブス氏本人であるならば、同じディラン好きとして、ジョブス氏のことをちょっと好きになった



意味深な歌詞度           ☆☆☆☆☆
何も考えていないかもしれない度 ☆☆☆
字余りがかっこいい度        ☆☆☆☆