建築はどこにあるの?①

展示場には、小さな<キオスク>と小さな<納屋>が部屋の端にぽつんと置いてある
初めてそれを見たときは、不思議に思った
扉のない部屋のミニチュア
飾り気のない白い机と白いチェアーだけの部屋の中、そしてその外側には、さらに飾り気のない外壁
これら2つのミニチュアの部屋の両者の間に、小さな椅子とテーブルが置かれていた



<キオスク>だという

中山英之氏作品
「草原の大きな扉」
<建築はどこにあるの?7つのインスタレーション>展
東京国立近代美術館


写真撮影可の美術展
常設展で撮影可の美術館はあるけれど、特別展で撮影可というのは珍しい



上から覗いた同じ<キオスク>


「建築はどこにあるの?」
またえらい抽象的な問いかけだなあ
「建築物」ではなく、「建築」という概念を聞いている
その概念はどこにあるのか
そう聞かれたならば、頭の中でしょ
そう答えるしかない


けれども、この美術展の今回の問いかけは、単純に頭の中が答えではないのだろうなあ
ある意味、頭の中で正解だと思うけれど


<納屋>だという


これらの作品は、北海道の広大な草原を敷地に、軽食をふるまうカフェとして設計した建築の1/3の模型だという
ここでパンフよれば、解説者は、「わたしたちは、どこかに足を踏み入れとき、いろんな情報を瞬時に読み取り、空間の大きさや質を判断します。それは言い換えれば、空間の豊かさは、そこに実際にあるわけではなくて、人間の認識のうちち立ちあらわれるのだということです。」とコメントしている。
なるほどおぉぉぉぉ
名文だなあ、わかるわかる
とてもうまい紹介文だなあ


中山氏は、建築空間は、中にはないという
これらの作品の建築は「中で何かをする」建築ではなく、建築空間は外にあるという
草原の両端にある<キオスク>と<納屋>との間に広々としたリビングルームをイメージしたという
そして扉を閉じると広い広い建築空間も消えてなくなる、そうイメージしたという
なるほど、これはかっこいい、発想の逆転だ


この中山氏の作品、近づいてアップで写した写真だけれど実はとても小さな作品
本来であれば、このように作品の中身だけを写すのではなく、全体を見ないと中山氏の作品の主題にそぐわない
けれど、これはこれできれいだ
きれいだけではない
何かを伝えようとする、ここにも一つの建築があると思う


きれいだから、それだけで惹かれたのではない
小さくて珍しいから、それだけで惹かれたのではない
何かに惹かれた
まだはっきりとはしないけれど、シンプルな空間に、その建築を考えさせられた
シンプルな建築
建築って何だろう
その本来の目的
これからめざしてゆく建築
有るべき建築
建築ってなんだろう

ル・コルビュジエの造る建築も素晴らしいけれど
他の建築もあると思う


建築はどこにあるのか、とても考え深い
明日以降への思考に続く



CDのジャケとは違うイメージだ度  ☆☆☆
エレガントな優しさ満点度     ☆☆☆☆
シンプルな美しさがここにある度  ☆☆☆